後立山周辺(富山) 南保富士(727.0m)、二王山(784m)、黒菱山(1043.3m)、焼山(910m) 2019年2月23日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 6:27 除雪終点(標高144m)−−7:20 南保富士登山口−−8:28 南保富士(スノーシュー装着) 8:36−−8:56 二王山−−10:10 黒菱山(休憩) 10:43−−11:23 焼山 11:25−−11:45 720m鞍部−−11:21 林道−−13:15 スノーシューを脱ぐ−−13:20 林道入口(ゲート)−−13:33 除雪終点

場所富山県下新川郡朝日町
年月日2019年2月23日 日帰り
天候雨後雪後曇後時々晴
山行種類残雪期の山
交通手段マイカー
駐車場除雪終点に駐車
登山道の有無二王山まではあり、二王山〜黒菱山〜焼山〜林道までは無し
籔の有無無し
危険個所の有無無し
山頂の展望南保富士:良好  二王山:悪い  黒菱山:大展望  焼山:あまりよくない
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コメント雁蔵集落付近の除雪終点から周回。今年初の本格的残雪の山&久しぶりのまとまったコースで体力的に不安だったため、当初計画は黒菱山を目標とし行ける所までと考えたが、予想外に雪の状態が良好で焼山を含めて周回。トレースは南保富士まで。林道以外では南保富士登山道以外は全て雪に覆われ地面は見えていなかった。帰りの林道も最後のほう以外は雪に覆われていたが気温が上昇し重雪で足が重かった


地図クリックで等倍表示


除雪終点から出発(標高144m付近) 道路上にはスノーシュー、スキー等トレース多数
最初の林道分岐で左へ。トーレースは僅か 堰堤で林道終点。トレースは右へ登り尾根上へ
尾根上はほぼ無雪。スノーシューを脱ぐ 竹林通り抜け禁止の看板
竹林を通り抜ける 林道に出た
林道を外れて右上へ トレースを辿る
また林道へ出た 南保富士登山口手前の林道分岐
案内図
南保富士登山口 最初は雪が少ない(手ブレ酷い)
標高450m付近。雪に乗るがトレースはしっかりしている 標高480m付近
南保富士山頂。TVカメラあり 気温は約-2℃
南保富士山頂からの360度パノラマ展望(クリックで拡大)
南保富士から見た二王山、黒菱山方面。黒菱山は雪雲の中
南保富士山頂から先はトレース無しで踏み抜き多発 再びスノーシュー装着
夏道のマークか? 二王山山頂直下
二王山山頂。ブナ林に覆われる 山頂標識はこれだけだった
雪面より2m以上にある目印布 二王山東斜面でも目印布あり
二王山東斜面から見た黒菱山方面 標高800m付近
851m峰東側は二重山稜。左右どちらでも化 雪が締まりスノーシューは全く沈まない
911m峰付近 標高960m付近。やっと山頂が雲から出た
ここを登れば黒菱山山頂 黒菱山山頂
黒菱山山頂から見た大地山へ続く尾根 黒菱山山頂標識
黒菱山山頂からの360度パノラマ展望(クリックで拡大)
時間、体力とも余裕があるので焼山周回コースへ変更。北上して焼山へ向かう
1010m峰付近。尾根が痩せてくる
1010m峰付近から見た焼山
1031m峰を越えて1010m付近から北西を見る 標高920m付近の熊棚
熊の木登りの跡が幹に残る 焼山への最後の登り
焼山山頂のカモシカの足跡 焼山山頂。だだっ広い
焼山山頂からの360度パノラマ展望(クリックで拡大)。なだらか過ぎて展望は良くない
焼山山頂から見た黒菱山
816.8m峰(大鷲山)経由で帰ろうかと しかし登り返しが面倒で720m鞍部で林道に出ることに
西へ落ちる谷の入口。最初は傾斜は緩い 西尾根に向けてトラバースの連続
気温が上がり踏み抜き連発。下りで良かった 標高600m付近。やっと尾根に乗る
標高550m付近から痩せ尾根に 標高450m付近で左下の林道へ
林道に出た(地形図の破線) しばらくは雪に埋もれた林道歩き
標高370m付近。落石で車両通行不能だろう 標高310m付近。流れで雪が消えている
危険な傾斜ではないが雪が重く足も重い 対岸には山道あり

ヘアピンカーブは道が出ていた ヘアピンカーブの雨量計
逆谷の橋。これより下は雪はほぼ無い 逆谷近くの大岩と破損した古い橋
大岩には石仏あり スノーシューを背負って林道歩き。雪が無いと楽だ!
林道入口のゲート。施錠されている 黒菱山登山道の一部なんだけどなぁ
駐車場所に通じる車道を登る 駐車場所到着。車が1台だけ増えていた


 今年は雪が少なかったうえに雪解けも早く、例年より早く登らないと雪が消えてしまいそうだ。例年なら3月に入ってから本格的な残雪の山に入るが、今年は2月中旬から動き出すことにした。もう下界ではスギ花粉が飛び始めたのでちょうどいいタイミングでもある。前日の金曜日は気温が上がり雪解けが進んだのは間違いないが、土曜日は冬型の気圧配置に変わって気温が下がり、雪の締りが期待できるのもタイミングがいい。ただし天気予報が微妙で、ネットのメッシュ予報では富山山間部は曇りだがTVの予報では雨か雪。はたしてどちらが当たるだろうか。もし雨や雪でも今回は寒気が弱いので日本海側でも大荒れにはならないので問題ないだろうと雨具をザックに入れておく。

 焼山は富山東端の朝日町の山で、黒菱山の北に位置するが登山道は無いらしい。正確には獣道程度はあるようで無雪期の登頂記録を1件だけ見たことがあるが、主に残雪期に登られる山。黒菱山に登山道があると知ったのは下山後だったが、雁蔵集落から沢沿いの林道経由で往復するルートで焼山や二王山とはつながっていない。南保富士と二王山は夏道がある。焼山付近の山の登山道状況は以上のようなもので、無雪期では3回に分けて登しかないが、藪が埋もれる残雪期なら4山まとめて周回も可能だろう。この場合、雁蔵集落起点が適当だろうと雁蔵集落を目指した。

 冬場は片道1時間以内の小さな山を1日で複数個登るスタイルが続き、しかもほぼ無雪の山ばかりだった。久しぶりのまとまったコースと今年初めての本格的残雪の山で、4山周回できる体力があるのか不安なため、まずは夏道のある南保富士に登って二王地山に至り、雪の状態=疲労度を考えて黒菱山まで行くかを決定し、黒菱山まで行けたら焼山まで足を延ばすか考えることにした。焼山を登り残した場合は雁蔵集落からではなく北東の大平集落から往復した方が、長い林道歩きが無く直接山頂へ至る尾根に取り付けるので効率的だ。また、積雪した林道は場合によっては超危険地帯に変貌することは過去の経験で分かっている。こんな具合で今回は焼山は撃ち漏らしてもいいことにした。

 周回できるか不明なので往復ルートになったことを考えて雁蔵集落から七重谷川沿いの車道を入れるところまで入り、144m標高点のある橋まで車で上がった。夜中は星がきれいに見えていたが早朝には見えなくなり明け方には小粒の雨が。どうもTVの天気予報が正解だったようだ。どうせなら雪の方が濡れなくていいのになぁ。

 明るくなった直後に出発。除雪終点からワカンやスノーシュー、スキーのトレースが車道の続きに付けられているが、これらは黒菱山が目的地だろうか? 試しにツボ足で雪に足を乗せると体重を支え切れずに沈むので、最初からスノーシューを装着。ここは標高が低いので雪の締まりは良くないだろうが、尾根上はどうだろうか。

 この車道は尾根取り付き点の320m鞍部へ向けては遠回りしているので、最初のカーブで左に分岐する林道に入ることに。しかし大多数のトレースはそのまま道なりに進んでいて、こちらが進む林道には1,2人分のスノーシュートレースのみ。そでれもトレースがあるとスノーシューなら足が沈まずに楽ができた。

 このままずっと林道を進むのかと思ったら地形図の表記と異なり砂防ダム直下で林道が無くなっていた! でもトレースは植林された右手の尾根に上がっていて、それに従って尾根に出ると明瞭な道があった。植林の中は雨が遮られて濡れないのが助かるし、積雪はほとんど無くてスノーシューを脱いでザックにくくりつけた。ザックは重くなったが足は格段に軽くなり、必要性が無いときはスノーシューは外した方が楽であった。結局、この先はつぼ足のまま南保富士まで問題なく歩けた。

 傾斜が緩むと通り抜け禁止の看板が立った竹林を抜け、標高290mで再び林道に合流、緩やかな林道を進むとトレースは林道を離れて右手の斜面を登っているのでそれに従う。標高330mで別の林道に乗れば330m鞍部は近い。林道にゲートが無ければ無雪期はここまで車で入れるわけだがゲートはあるのだろうか。

 330m鞍部で林道が別れて左は七重滝、右が南保富士の案内標識あり。周囲の簡略図もありルートが分かりやすい案内であった。地形図に記載が無い山がいくつも出ているが、日本山名事典で調べれば記載された山が発見できるかもしれない。

 林道を直進して僅かで南保富士登山口が左に分岐する。この付近は杉の植林帯で頭上が葉で覆われて登山道には雪は少ない。斜面をジグザグに登り標高400mを越えて尾根に取り付くと徐々に雪が登場するが、しっかりしたトレースが付いているのでツボ足でも全く沈まない。しかしトレースの濃さは除雪終点とは大違いで明らかに人数は少ない。多分半分以下だろう。いったい、他の人はどこに行ったのだろうか?

 天候はまだ回復しないが、雨から雪に変わってくれたのは助かった。これで濡れる心配はない。雪ではなく霰に近い粒で、上空の気温はあまり低くないらしい。標高500m付近では日本海側の視界が開けるが雪の影響で霞んでしまっている。

 積雪のためトレースは夏道を正確に辿っているのは不明だが、藪っぽい箇所は無かったのでたぶん夏道通りなのだろう。気付かぬうちに徐々に積雪が増えてくる。また、高度が上がると木の高さが低くなってくる。

 山頂直下で樹林が切れて開けた雪稜となり、TVのライブ中継で使っているようなカメラが山頂直下に立つ南保富士に到着。尖ったピークで立木皆無なので展望は360度だが、低い雪雲に隠れて黒菱山や大地山や初雪山は見えなかった。好天時は大展望を楽しめるだろう。

 意外にもトレースはここまでで、この先には雪の上には古いトレースさえ見えない。今朝から降っている雪で僅かに新雪が増えたが数mm程度なので、古いトレースがあれば凹みで分かるはずだ。まあ、昨日は気温が高かったので1週間前くらいのトレースは消えてしまうかもしれないが。

 南保富士山頂から東尾根を下り始めるとツボ足ではズボズボと潜るようになり、いよいよスノーシューの出番だ。装着すると踏抜きは皆無となり快適だ。足も背中も軽くなる。

 次の二王山までは夏道があるが、雪面ぎりぎりに出ているブナの赤ペイントがそれなのだろう。積雪はたぶん1m以上はありそうで全く夏道の気配は感じられず、尾根上を正確に辿っていくが、雪が降っている影響で地形図を見ないで歩いたので余計なピークを登ってしまった。まあ、大した労力ではないが。

 尾根幅が広がり広い尾根を緩やかに登ると二王山山頂に到着。このピークは南保富士とは全てが対照的で、山頂は広く平坦で山頂っぽくなく、ブナ林に覆われて展望はすこぶる悪い。立派な山頂標識があるかと思ったが、文字がかすれた手製の古い標識しかなかった。紫色の目印布が木の高い位置に結ばれていて、雪面から2mを越えているので積雪期に付けられたものに違いない。今は2月下旬で雪が多い時期のはずだが、これが付けられた年よりも1m以上積雪は少ないようだ。

 二王山から東尾根の出だしは尾根が広くて分かりにくいが、落葉したブナ林なので先の様子が見えるので南に軌道修正して尾根に乗る。ここでも紫の布が高い位置にかかっていた。

 720m鞍部から先は樹林が薄くなって雪がたっぷりの雪稜に変貌、少々早いが残雪期の様相だ。相変わらず雪は良く締まり、スノーシューでは全くと言っていいほど沈まないし、踏み抜きも皆無だ。今回は念のために軽ピッケルを持ってきたが出番が無く、ザックに刺さったままだったのでピッケルを雪面に刺して手軽に雪の締まり具合を調べることができず、スノーシュー無しでも結構いける雪質まで締まっていたかは不明だ。でも感触からしてワカンでも沈まなかったと思う。ただしスノーシューは登りの食いつきが非常にいいし、ヒールリフタで足の負担が軽減できるので、重さと予想される雪質だけでなくコースによってどちらを使うかは判断が難しい。もちろん、最大の判断材料は雪質だが、この予想は非常に難しい。

 山頂まで樹林が薄い雪稜が続く。相変わらず黒菱山は雪雲に隠れたままであるが、いつの間にか雪は止んでくれた。雲も切れ目が生じるようになり、時折青空が覗くことも。雪が緩まないように曇り程度がいいなぁ。

 851m峰を下った先は二重山稜になっていて左の尾根を進んだが結果的にはどちらでも同じであった。この先は変化に乏しく同じような光景が続いて現在位置の把握が難しいが、とにかく尾根上を進めば黒菱山山頂に到着するので地図も見ずに淡々と歩き続ける。心配していた体力は雪質が良好なこともあり、まだ休憩無しだが全く問題なかった。これなら焼山まで足を延ばして周回できそうだ。やっと雲の高さが高くなってきて黒菱山が雪雲から出てきたが、大地山は雲ぎりぎりで初雪山は終始雪雲に隠れたままだった。

 最後の緩やかな登りでだだっ広い黒菱山山頂に到着。ここも立木皆無で大展望だが今日は雲が多くて高い山は全て雲の中で立山や後立山は全く見えなかった。雪に埋もれた標柱の山頂標識が雪面から顔を出していて、これまでは黒菱山の夏道は頼りないものではないかと思っていたが、この標識を見る限りは立派な道ではなかろうか。帰宅後に真面目にネット検索したら、やはり立派な登山道とのこと。ただし道はこの山頂で行き止まりである。今は積雪で夏道の存在を感じ取ることは不可能だ。

 ここまで4時間近く休憩無しで歩いてきたので山頂で休憩。北寄りの風が少しあるので南斜面に下って風を避けた。休憩中だけは体が冷えるので日差しがあった方が助かるが、残念ながら日差しは皆無であった。それでも本日持ち上げた防寒装備でそこそこ快適に過ごせた。

 さて、まだ時間も体力も余裕があるので焼山に向かうことにした。当初問題となると予想した林道の積雪も、下界の積雪量からして危険なレベルではないと判断した。それでもリスクをできるだけ軽減するために816.8m峰(大鷲山)に登り返し、大鷲谷と逆谷に挟まれた尾根を下れば林道歩きは標高がより低い場所からとなるので、さらにリスク回避できていいかもしれない。

 北に延びる広い尾根を北上、ここも立ち木がほとんどなく晴れていれば大展望だろうが、今は低い雲が垂れ込めたままだ。思ったよりも天候の回復が遅れている。地形図では尾根が右へと曲がる標高1010m付近で夏道が左に分岐するはずだが、今は積雪でその場所は全く分からなかった。

 夏道が分岐したはずの箇所より先に当たる最初の1010m峰から先は、これまでと違って尾根幅が狭まり痩せた雪庇上を歩くようになり、少しばかり緊張。ただしナイフリッジ化はしていないのでスノーシューのまま&ピッケルは不要なので、それほど危険性は高くない。でも両側の傾斜は急で、万が一コケれば長距離の滑落に繋がるので注意は必要だ。1000m鞍部を越えて1031m峰への登りに変わると尾根が広がり安全地帯となる。

 1031m峰を下り、1010m付近から尾根幅がさらに広がって広大な斜面状に変わる。視界がいい時に歩くのは気持ちがいい場所だが、ガスに覆われた時にここを下るときはとても迷いやすい場所だ。この状態は焼山山頂まで続く。

 標高920m付近では低いブナの木の低い場所に熊棚を発見。ブナの幹はコナラやミズナラと違って滑らかで熊の爪痕が明瞭に残っていた。でも凸凹が無いために熊の爪でも滑るらしく、爪痕が長く伸びた箇所が多かった。コナラ、ミズナラだと爪の引っ掛かりがとてもいいらしく、熊の爪痕は点にしかならない。

 これまた広大な880m鞍部から緩やかに登ると焼山山頂に到着。細く小ぶりのブナが点在する広大な山頂で、広いために地面で近場の視界が遮られてブナの影響もあって展望が素晴らしいとは言えない場所であった。でもブナは小さいし密度は低いので、遠くの高山の展望は良好なはずだが、今日の空模様ではそんな山は全て雲の中で見えないのが残念だった。

 だだっ広いのでどこが山頂なのか分からないが、山頂標識が無いかと探し回ると1本のブナの幹にトラロープで結ばれた小さな板を発見した。しかし文字は完全に消滅していたので、相当古いものだろう。同じ木にはピンクリボンも結ばれていた。この他には人工物は発見できなかった。

 816.8m峰に向けて北上し、標高870m付近からは広い尾根だが急斜面をスノーシューのまま、場所によってはバックして下っていく。スノーシューは踵が使えないので下りには弱いのは毎度のことだ。ここも尾根形状を成していないのでガスられたら非常に厄介だろう。

 720m鞍部に到着し、ふと思いついた。下界の積雪状況から考えて林道の積雪状況も大したことはなく、このまま西へ下ってしまっても大丈夫ではなかろうか。816.8m峰は地形図に山名は記載されておらず、登っても私にとっての1山にはならない。この記録を書く前はそう考えていたが、実は日本山名事典に大鷲山との名で記載されていたのだった。これを知っていれば山頂を踏んだのだが、この時は余計な労力を削減する方を優先してしまった。残念ではあるが、ここは林道から夏道があるので比較的簡単に登ることができるので許容範囲だろう。

 720m鞍部からそのまま谷沿いに下ると最後に沢の流れが出ている場合に面倒なことになるので尾根上を下る方がリスクが低いため、ここから焼山西尾根に乗り換えることにした。長〜いトラバースが必要となるが、スノーシューはトラバースには向かないので歩きずらいことこの上なかった。特に傾斜がきつい場所では足への負担が大きい。スノーシューを脱げば楽なのだが、残念ながら雪が緩んでスノーシューでも踏み抜きが連発するようになり、ツボ足ではさらに苦労しそうなのでやめておいた。積雪に覆われているので藪は皆無なことだけは大助かりだった。

 標高580mでやっと尾根に乗り、トラバースから解放されて足が楽になった。このまま順調に尾根を下れるかと思いきや、標高550m付近から尾根が痩せて両側が切り立ってきた。しかし立ち木があるので掴まるものがあり、カモシカの足跡もありそれに先導されるようにルートを辿る。マジで痩せた尾根だったらスノーシューを脱ぐ必要があるか、今回はそこまでやる必要はない程度であった。

 尾根末端が迫り、左下に林道らしき幅広い道が登場したので尾根を外れて雪に埋もれた灌木斜面を下り、最後は急斜面で林道に出た。ここは地形図では破線になっているが、道幅からして立派な林道らしい。ただし今は積雪で路面状況は不明だ。おそらく黒菱山の夏道登山口まで林道は続いていることだろう。

 あとは延々と林道歩き。いつの間にか天気が回復し青空が増えて日差しが出るようになり気温も上昇してきた。林道の雪が緩んできてスノーシューでもコンスタントに足首まで潜るようになると、下り傾斜が緩くなると急激に足が重くなる。ルートの最後で思わぬ苦労だ。ただし、予想通りに積雪量はさほど多くはなく、斜面と同じ傾斜まで雪に埋もれて危険なトラバースが必要な個所は無く、スノーシューのまま通過可能だったしピッケルも不要だった。ここは比較的海に近いので積雪は山奥よりも少ないのであろう。

 林道の道幅は広いが標高370m付近では道路を塞ぐように大きな岩が落ちていたので、もしかしたら廃林道かもしれない。意外にも対岸には延々と水平に走る道が見えている。最初は林道かと思ったが地形図に記載はなく、どうも人間が通る山道らしい。しかし今は谷地形は雪崩で斜面と同じ急傾斜の雪面と化しており、通行は危険だろう。

 標高200〜250mのヘアピンカーブでは周囲は積雪で埋もれているのになぜか道路だけ出ていた。ここは舗装道路で、少なくともここまでは現役の林道だと分かった。ここにはアンテナが付いた雨量観測施設あり。

 逆谷とその一つ手前の谷は短い間隔で連続した橋で渡り、この先で積雪が急に消えた。しかしいつまた雪が出てくるかと思って少しの間はスノーシューで歩いたが、見える範囲の直線道路に雪が見えないのでスノーシューの破損を防止するためスノーシューを脱いだ。もう雪が出てくると面倒だと心配しながら歩いたが、ここを境にして急激に林道上の積雪が減少し、もうスノーシューの出番はなかった。実際には路面全面に雪は残っていても路面の一部に雪解け水が流れて雪が消えていたりと、運がいい面もあった。やはりスノーシューの重さが足に付いていないと足が格段に軽くなる。

 林道入口付近でゲートが登場。施錠されていてゲート左右に柵が張られて人間でも簡単には通過できないような造りになっていた。沢側の急斜面をどうにか迂回したが、落ちれば沢にドボンで、ゲートによじ登って越えた方が安全だったかもしれない。しかしこの道は黒菱山登山道兼用のはずで、これでは登山者も入るなと言っているようなものだろう。まあ、注意書きの看板を見る限りはそうなのであるが。

 ゲートから先は無雪の舗装道路の登り返し。最後での登りは精神的にも疲れるが、雪が無く足が軽いのが大きな救いだ。やや風が強く薄着では寒いが日差しがあり、風を通さない服装であれば体感的には温かい。

 除雪終点の駐車場所では富山ナンバーの車が1台増えていた。私の他に登山者が1名(1グループ?)だけいたらしい。着替えを済ませて濡れたものを路面に広げて干しているとスノーシューの男性が下ってきた。車の持ち主だろう。話を聞くと黒菱山まで往復してきたとのことであるが、私が遭遇した雨や雪には逢わなかったとのことなので、出発は私より1,2時間遅かったと思うが、今日の天気ではそれが正解だっただろう。林道上のトレースからして週末はそこそこ賑わう山かと思っていたが、その人は他に登山者がいるとは思わなかったという。今日の富山の天気予報が良くなかったからであろうが、杉花粉があちこちで飛散開始したこの時期では、私にとっては日本海側の積雪地帯しか選択肢がないし、雨や雪が降れば花粉が落ちて大いに助かるので、大荒れにならない範囲での雪や雨は歓迎だ。濡れない点で雨より雪の方が大歓迎だが。関東や東海では既に本格的な飛散シーズンに突入したが、富山では今日はまだ午後の日が高い時点でも杉花粉は全く感じられなかった。4月下旬まで花粉から逃れるためにずっと残雪の山が続きそうだ。

 

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